チェロには人の声(男性から女性まで)に近い音域と豊かな表現力が有り、そのやさしく落ち着いた音色でクラシックはもちろんポップスやスタンダードまで幅広いジャンルの音楽を楽しむことができます。
ずっと前からチェロは憧れの楽器だったという方。
でもチェロが好きだから、この面白さを知ってもらいたい。
俺はやっぱりチェロが好きなんだ。
チェロは崇高な趣味じゃないことを伝えたい
クラシックや弦楽器を趣味というと「崇高な趣味ですね」とよく言われるが、俺はその言葉が嫌いです。褒めてくれているのはわかるのですが、趣味に貴賎は存在しない。寝ることだって立派な趣味なはずなのに、誰もそれを崇高とは言わない。
チェロと寝ることになんの違いがあるのか。本人が楽しんで打ち込めるのであれば反社会的でない限りどれも立派な趣味だと考えます。
だからこそ、他の趣味と比較してチェロが教養のある趣味と思われることがどうしても受け付けられない。
どんな人でも楽しめる「普通」の趣味としてチェロという楽器を紹介していきたい。
ヴァイオリン属は本来庶民の楽器だった
現在、チェロを含むヴァイオリン族はオーケストラの花形楽器であり、プレイヤーも気品が求められる節があるがその昔は庶民が酒場や広場で演奏するために使われた楽器が発祥と言われています。
張りが強く、遠くまで音を飛ばせる楽器として次第に音楽のシーンで重用されることとなり、今ではオーケストラの主役にまで上り詰めています。
現在、チェロを含むヴァイオリン族はオーケストラの花形楽器であり、プレイヤーも気品が求められる節があるがその昔は庶民が酒場や広場で演奏するために使われた楽器が発祥と言われています。
張りが強く、遠くまで音を飛ばせる楽器として次第に音楽のシーンで重用されることとなり、今ではオーケストラの主役にまで上り詰めています。
ヴァイオリンが誕生した頃、上流階級や宮廷ではヴィオラ・ダ・ガンバと呼ばれるヴァイオリン属によく似てはいるも起源の異なる楽器が愛用されていました。18世紀以後、コンサートの大規模化、産業革命による中流階級の増大による音楽の娯楽化大規模化に加えて、名奏者の不在と重なりガンバは瞬く間に淘汰されて一時は楽器として途絶しましたが、最近の古楽器復興運動で復活を遂げました。
俺も弾いたたことがありますが、作りも音も、演奏スタイルもチェロとは別物の楽器です。
滋味溢れる音色は、宮廷の王侯貴族が愛した音色として納得のいくものでした。
チェロと言われてほとんどの方がストラディヴァリのチェロを思い浮かべるでしょう。現代のスタンダートと言えるモデルです。
しかしチェロは過去の製作者が様々な形を考案してきました。モンタニャーナ・ゴフュリラー・アマティなどなど。 アマティモデルは女性的な丸みを帯びた美しい楽器で、個人的には一番好きなモデルですね。
他には5弦で少し小柄なピッコロチェロなるものも存在しており、JS バッハ「無伴奏チェロソナタ」の6楽章は5弦チェロのために作曲されたものと言われています。
現代とは違い、情報の伝播が遅い時代にその地方や作者によって形や姿が違うチェロですが、その音色はどれも人を魅了します。
ヴァイオリンより広い音域のチェロは通奏低音から独奏まで幅広い演奏スタイルに対応します。
チェロの初心者でも低音の開放弦を弾くだけで合奏に参加できる懐の深い楽器なのです。
必要なのは、既存プレイヤーの初心者を受け入れる器量だけです。
もっと初心者や未経験の人でも成功経験を積んでこの楽器が楽しいと思えるようになれば自然とプレイヤーが増えてくるのですが、それを理解しているのはごく一部です。
俺の周りでも定年退職を迎えてチェロを始めた人がたくさんいます。忙しい仕事から解放されて残りの余生で打ち込める趣味としてチェロを選ぶのです。
しかし、彼らは口を揃えて言います。「もっと早く始めていればよかった」って。
年齢のせいで思うような学習効果が得られず、後から始めた若い学生に追い抜かれることが多いそうです。ですが本人は楽しんでいます。もっと上達したいと願う気持ちと、それが思うようにいかず若い子にどんどん追い抜かれる現実から「もっと若く始めていれば」と感じることが多いようですね。
俺自身もどうしてもっと早く始めなかったのかと思うことがしばしばあります。それだけチェロは手強い楽器でもあるのです。だからこそ面白いのですがね
チェロは高額な楽器
チェロの普及を妨げている理由の一つが楽器の価格にあるでしょう。
趣味として使える最低レベルの価格帯が10万円台からというのは、ギターやベースといったポピュラーな楽器とは一線を画す金額です。本当に長く続けるのであれば本体だけで20万円は用意しておきたい。
上記はあくまでも最低レベルの楽器の値段です。それ以下はチェロの形をした置物だと言われる。乱暴な物言いながら、俺もその意見には賛成だ。趣味としてチェロに貴賎はないが、楽器は明確にグレード分けできるし水準に達していない物は燃えるゴミにしかならない。
最低水準が20万円であって、楽器そのものは新作でも時には600万円のプライスタグが下がる。今の円安相場だと巨匠の作品なら1000万円に届くかもしれない。
では、どうしてチェロはここまで高額な価格で取引されるのだろうか。主にその理由は3つ存在します。
チェロのボディは無垢な板からコンマ数ミリ単位で削り出されます。大がかりな工房製の安い楽器であれば、一定の薄さまで機械が削りますが、結局最後は作業者が微調整をしないといけません。 作業を専業化して効率的な生産方法をとっても、あらゆる工程で人の手作業が入るため人件費代が価格を釣り上げる要因となっています。技術革新して生産がオートメーション化しない限りこの最低価格に大きな変化はないでしょう。
これが製作家1人で作るとなると、それにかかった時間全てが楽器の値段に上乗せされます。
チェロやヴァイオリンの原材料はその辺の木から採れるものではありません。ある程度限られた気候条件で成長した杉が適切な材料となります。
そのきが成長するのには何十年もかかりますし、伐採してからも数年間寝かし期間が必要です。さらには、良い木や森は昔からの作家一族が管理していることもあるので、良い材料が市場に出回ることはあまりありません。
板一枚に10万円もするような世界です。 もしかしたらあなたの乗っている車の原価と、チェロの原価同じかもしれませんよ?
これは仕方ないところもありますが、楽器商のマージンも高額な理由の一つです。商売だから仕方がないで、あまりバイヤーを責めるのもかわいそうですがね。
また、楽器の運送費用や海外買い付けによる諸経費諸々を考えたらどうしても高くなってしまいます。
しかし、日本の楽器商は納期さえ守れば適当な楽器でも言い値で買ってくれるからと海外作家から舐められているのも事実。結局末端顧客が値段と制作者のアルファベットしか読めず、楽器の価値を理解して購入しないからだと俺の先生がおっしゃってた。
良い楽器は高額な楽器は正だが高額な楽器が良い楽器は誤である、は言葉では分かりますがン百万円の楽器を目の前にすると舞い上がって正常な判断ができないですよ。結局値段というバイアスが楽器の音色や作りの悪さも個性に変換してしまうのですからね。
内容としてはヴァイオリン属全てに関わる内容ですが、チェロの値段が高い理由がお分かりいただけたと思います。
新作に限定していますが、オールドはまた別の理由で天文学的金額の楽器ばかりです。その辺は専門の書籍も多いので興味のある方はお調べになると楽しいですよ。ストラディヴァリのチェロが希少価値だけで値段が付いているわけではないことがわかるかと思います。
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